腫瘍原性ヘルペスウイルス感染におけるnon-coing RNAの役割
演者:田川 嵩展
ガンの約2割は腫瘍ウイルス等の病原体により引き起こされる。そのうち、エプスタインバーウイルス (EBV) 及びカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)は年間25万件のウイルス性発癌を引き起こす。EBV/KSHVの潜伏感染は生涯続くにも関わらず、認可されたワクチンや効果的な抗ウイルス薬が未だ存在しない。これはウイルスによる免疫系、特に獲得性免疫の回避等が原因であり、この潜伏感染の維持、また免疫回避の理解が抗ウイルス療法の発展に必須である。我々は、マイクロRNA(miRNA)等の非コードRNA (non-coding RNA)が発癌ウイルスの制御に重要であると仮定してその機能解析を行ってきた。免疫回避能を持つウイルス性タンパク質の存在は知られていたが、それらタンパク質そのものがヒトの獲得性免疫の刺激になってしまうため、そもそも抗原提示されないRNAは宿主を制御するには理想的なウイルス因子となりうるからである。
一つ一つの非コードRNAの与える影響は、タンパク質に比べて概ね限定的、調節的である。EBV/KSHVといったウイルスはヒトが自然宿主であり、多くの場合感染者の健康に影響を与えない。非コードRNAの調節的役割がこの高度な共生/寄生を成立させていく上で必要だったのではないかという観点から議論を深めていきたい。本セミナーでは、EBVの持つmiRNAが感染細胞をヒトの免疫から保護する機構についての研究、また新規RNAであるヒト環状RNA (circular RNA)がKSHVの潜伏感染を制御する機構の解明について解説する。さらに、我々が同定したウイルスの持つcircular RNAについての研究動向や展望についても紹介していく。
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登録日時 | 2022年12月20日 15:00~16:00 |
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備考 | |
エリア | 豊明校地、ばんたね病院、七栗記念病院、岡崎医療センター |
会場 | 豊明校地大学2号館8F810号室 |
対象者 | 大学、病院、研究支援、その他 |
資料 | |
主催部門 | 感染症研究センター |
担当者 | 村田 貴之 |
連絡先 |
2467 tmurata@fujita-hu.ac.jp |